いくつかの蔵造りの町並みを訪ねたとき、伝統的な建築物ではなく最近の物件で気になるものを見てしまった。
見て見ぬ振りをして通り過ぎようとしても、そうすることができず、つい足を止め見入ってしまい、写真に収めてしまう。
なぜこのような建築物が建てられてしまうのか。蔵造りの町並みに合った現代建築だと、設計者は思っているのだろうか。それとも代々受け継がれてきた、蔵の町に住む人々の血がなせる業なのであろうか。
まずは長野県須坂市の集合住宅である。
屋根というものは、どうしても斜めになっていないといけないのだろうか。飛び出ている部分はどんな用途があるのだろうか。これだけ高い建物である、景観を意識してのことではないはずだ。やはり血であろうか。
つづいて福島県喜多方市。
これはさらに意味不明である。用途が想像できない。デザイン性を重視した結果なのであろうか。
こちらも喜多方市内のNTT前にある公衆電話である。
NTTの建物自体も蔵造り風建築である。NTTや郵便局などは、地域の景観を意識した建物であることが多い。意識はしているのだが、総じてすべっているものが多いのも事実である。
最後に川越から。重厚な蔵造りの町並みの先にそびえる法律事務所である。
これは…目立つのでランドマークにはなる。
決してこのような物件を探して歩いているわけではない。いつも歴史と情緒にあふれた伝統的町並みを探訪しているのである。にもかかわらず、これらの建築物は、その圧倒的存在感で私の足を止めるのであった。