空に向かって耕す畑 - 遊子水荷浦
ねじ曲がり折れ曲がりながら、宇和海に向かって延びる三浦半島。
その中央部で細胞分裂して分岐した岬の先端部が遊子地区だ。
急峻な傾斜地と海のあいだのわずかの平地に集落がある。耕作に利用できる土地はほとんどなく、古来より漁業を生業としてきた地域である。
自給のための農業も細々と行われていたが、人口の増加や不漁対策、また換金作物栽培の奨励などのため、わずかばかりの耕作地も徐々に拡大の必要がでてきた。
平地はこれ以上ないため、集落の背後の傾斜地を開墾するしかない。
そうして、麓から頂上まで段々に耕された段畑の風景が作られていった。
集落の背後に、整地のための石垣が、城壁のようにそびえている。
畑は等高線に沿って美しく整地されている。
重労働の末に手に入れられる耕作地はわずかなものであり、そこでの農作業も過酷であった。
養殖業の発展と共に段畑での過酷な農業は衰退していく。
この地域で広く存在した段畑も、現在では、大規模なものは遊子水荷浦でしか見られない。
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