Twitter

ヤマレコ

  •  

LINK

« 高尾 de 新年会 | トップページ | 生き延びる自分を経験すること »

青と白の世界

見上げれば、深い深い空の色。
それはあまりに深くてあまりに色濃くて、「青空」と呼ぶのは相応しくない。
紺碧?紺青?瑠璃色? どんな言葉を用いても表しがたい色をしている。
背後に広がる無限の宇宙が溶け出したかのような深みのある青。
心が吸い込まれていきそうな空の色。

視線を下に落とせば、純白の世界。
真っ白な雪原は太陽の光を反射して、強烈に輝いている。
キラキラ輝く光の粒が空間を跳ね回り、リズムを刻みメロディーを奏でる。
時おり吹く風の音が、さーっと稜線を駆け抜ける。

Img_0158

降り積もったばかりの柔らかな新雪に足を取られながら進む。
先行者は数名いるようでトレースが付いてはいるが、まだ全く踏み固められてはいない。

今シーズン初の雪山らしい雪山だ。

Img_0096

周囲の山々は全て見えている。

甲斐駒に仙丈に北岳に鳳凰にと、まるで戦艦のように空に浮かぶ南アルプス。
編笠山の奥には中央アルプスの山並みと噴煙を上げる御嶽山。
甲府盆地の向こうには、雲海から頭を出した富士山も。

Img_0112

そして向かう先には、八ヶ岳核心部の山々。

権現岳からキレット越えて赤岳へ、そこから阿弥陀岳へ続く稜線、横岳硫黄岳への縦走路。

Img_0142

三ツ頭を過ぎて、ここからがいよいよ本番。権現岳へと向かう。

雪が緩いので迷ったが、いちおうここでアイゼンを付けてピッケルを用意した。
権現岳への最後の登りは、なかなかの急傾斜である。
山頂直下の急な斜面に張り付いてるパーティーが見える。

Img_0181

先行パーティーのトレースを伝って登る。
足あとの上に足を置いても、太ももまで踏み抜いてしまうこともある。
雪は緩く、やはりアイゼンは全く効かない。
急斜面を直登していくが、雪が崩れてなかなか登れない。

山頂直下まで登ると、最後はトラバースして回り込む。
まるで空に向かって行くかのような天空のトラバースだ。雪道が崩れたら下まで落ちるだろう。
いちおう山側にピッケルを刺すが、ふわふわの雪は手応えがなく、軽く刺してもブレードまで埋まってしまう。これでは踏み外しても止まらない。ピッケルを持っていても気休め以上の意味はなさそうだ。

Img_0195

トラバースの向こう側は、世界が少し変わったようだった。

強い横風が吹き付けている。雪煙で視界が霞む。冷たい風が体温を奪う。
冬の山の厳しさを、ほんのわずかであるが見せてくれている。

少し登って権現岳の山頂へ。深い空に雪の着いた頂きが映えていた。

Img_0237

権現岳の山頂から先へ、縦走路分岐まで歩いた。

ここから眺めるこの先の景色は素晴らしい。
八ヶ岳の主要な山々が、まるで手を伸ばせば届くかのように目の前に広がっている。

Img_0221

地球上でポツンとひとり、自分がちっぽけな存在であると実感する。
それとともに、見渡せる山々まで一歩で歩いていけそうな、なんだか自分が巨大になったような不思議な感覚もする。そのふたつが同時に感じられる。
大きくなったり小さくなったり、宇宙になったり自分になったり、孤独になったり一体感を感じたり。

Img_0217

すぐ左手には真っ白なギボシ。てっぺんに誰か立っているのが見える。
あそこまで行けなくもないけど、今日はここまででいい。縦走路分岐から、その先の景色を見たいと思ってきたのだから。先へ進まず、ここで前を見つめていよう。

大きく息を吸い込むと、凍てつく空気で肺が痺れた。

Img_0234

しばらくするとガスが上がってきた。赤岳の姿が見えたり見えなくなったりしている。もう少ししたらここもガスに巻かれそうだ。潮時だな。

目の前の景色にサヨナラを告げ、回れ右して帰路に就いた。

 
 

« 高尾 de 新年会 | トップページ | 生き延びる自分を経験すること »

④ 八ヶ岳」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1038344/63857680

この記事へのトラックバック一覧です: 青と白の世界:

« 高尾 de 新年会 | トップページ | 生き延びる自分を経験すること »