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ヤマレコ

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機械の道と獣の道

登山口から二時間ほど登り、御池のほとりにテントを設営したら、もうやることはなくなった。見上げる青空には北岳の頂が輝いている。

行くか、あそこまで。こんなに天気いいんだしな。

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簡単な荷物と弁当だけ持って、八本歯のコルへと向かった。

分岐からは山頂へ向かわず、間ノ岳方面へのトラバース路を進む。北岳山荘を超えて少し登った見晴らしいい場所で、北岳を眺めながらお昼ごはんにするのだ。

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2911mピークと勝手に名付けた平坦地で弁当を食べた。ほんとはもう少し登った方が眺めがいいのだが、お腹が空いて限界だった。

こっち側から見る北岳の姿は、なんともかっこいい。

すっかり満足したので山頂は別にいいかなとも思ったけど、やはりせっかくなので登っておくことにする。

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3000mの薄い空気に喘ぎながら一歩一歩と登っていく。

振り返ると、大きな間ノ岳がどしりと構えている。南アルプスの山々の中では人気のない間ノ岳だが、なかなかどうして重量感のあるいい山だ。
まあ、間ノ岳って名前もよろしくないよな。北岳と農鳥岳の間の山って意味だもんな。

そういえば間ノ岳の山頂では晴れたことがない。あの大きな山の頂から、周囲の秀峰を眺めてみたい。

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北岳の山頂を踏み、ちょっとだけ休憩してから反対側へ降りる。

明日歩く予定の小太郎尾根が午後の柔らかな光に包まれている。
その先には甲斐駒ヶ岳の白い頂も。

次第にオレンジ色に染められていく山肌を眺めつつ、御池へと下った。

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翌朝。天気も上々のよう。

暗いうちから歩き出して、樹林帯を抜けたところで朝が来た。
新しい一日が生まれるこの瞬間は、何度見ても美しい。

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白峰三山の縦走路を外れて小太郎尾根に入ると、道の様子がガラリと変わった。

北岳の登山道はガッチリ整備されていた。
数年ぶりに来たのだが、記憶の道よりもさらに整備が進んでいるように感じられた。それは機械の力で行った整備だ。機械力で山を削り、広げて、硬く固めた登山道。

そんな登山道は、楽に歩けるのかもしれない。より安全なのかもしれない。でも、山を歩いてるって気分を失わせてしまう登山道でもある。なんというか、なんだか公園を歩いているようでもある。
人が歩き、踏み固められてできた人力の道とは決定的な違いがある。機械の道には、わくわく感が欠如している。

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しかし、小太郎尾根は違う。ここには、機械の力を使用した痕跡は皆無だ。踏み跡が薄い部分もあるし、ザレてるところもある。だが、それがいい。

山を歩くというのは、こうでなくっちゃ。

北岳の喧騒とは裏腹に、こちらへは誰も歩いてこない。こっちの方がずっといい道なのに。
まあ、誰も来ないほうが静かでいいので、このままそっとしておいてくれればいい。

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最後の急登を登って山頂に着いた…と思ったら、前小太郎山だった。ほんとの山頂はもう少し先である。急ぐことはない。この大切な瞬間をじっくり味わいながら歩く。

そうして、ようやく到着した小太郎山からの北岳は、昨日とはまた異なる姿をしていた。こっち側からも、これはこれでなかなかよい。

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甲斐駒も仙丈も昨日よりさらに近づいた。

稜線も眺望もひとり占めだ。

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ひとしきり風景を堪能したら、今回の山もそろそろ終わりだ。
歩いてきた小太郎尾根を戻り、御池へと下ったら、撤収して下山である。

いつでも快晴の素敵な二日間であった。

 
 

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