Twitter

ヤマレコ

  •  

LINK

« 深い山 | トップページ | 深南部の三日間 - day1 後編 »

深南部の三日間 - day1 前編

登っても登っても登りが続く。思わず手を突くほどの急な登りだ。まだまだ先は長い。三日分の装備の重さが、肩と背中にのしかかる。

時間はどんどん過ぎていく。取り付きのミスで登山道ではないガレ沢の登り降りをしてしまい、時間と体力を消耗した。それを取り返すこともできていない。

うつむき、足元を見つめ、装備と肉体を持ち上げる。一歩一歩、上へ上へと。ただひたすら登ることに集中して登っていく。

Img_3312

白ガレの頭で休憩。

ザックから菓子パンを取り出して食べた。小麦の風味がとても濃く、生クリームの甘さが舌に心地よい。ひとつひとつの味がはっきり感じられる。

Img_3329

山で食べるとなんでも美味しいと言う。その通りだと思う。その理由も知っている。いわゆる「チャクラが開く」というやつだ。もしくは「知覚の扉の向こう側」、ジムモリソンが「Break on through to the other side」と歌ったあちら側へ自然に入っているからだ。インドを旅した旅人なら、なにを食べても美味しいあの感覚を知っているだろう。つまりはそういうことである。

この感覚を得るために、人はまた山に登る。そして、この感覚に囚われてしまうと、さらなる深みを求めてリミットを越えることになる。クライマーでも修行僧でもロックスターでも旅人でも、快楽の囚人は最後には帰らぬ人となってしまう。そういう人を何人も見てきた。

Img_3352

ここまでずいぶん登ってきたが、さらに登らなければならない。ここから傾斜はいっそう急になる。

ふらふらになって前黒法師岳に着いた。

Img_3357

寸又峡から標高差1400m。実に6時間半もかかってしまった。もう昼である。

やり切った感があるが、ここがスタート地点だ。ここから先が本番だ。

予定より時間は押しているけど、まあなんとかなるだろう。行けるところまで行くしかない。とにかく進まなければ話にならない。

その先の稜線へと、一歩を踏み出した。

 
 

« 深い山 | トップページ | 深南部の三日間 - day1 後編 »

⑤ 南アルプス」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1038344/73980459

この記事へのトラックバック一覧です: 深南部の三日間 - day1 前編:

« 深い山 | トップページ | 深南部の三日間 - day1 後編 »